GS1標準バーコードを活用して、業務を効率化したい
スマートフォンを利用して高額なIT投資不要でDXを実現する方法とは
医薬品・医療品卸業者Y社 物流部門・営業部門
背景
医薬品や医療機器を全国の医療機関に供給するY社。物流部門では、膨大な入荷検品や棚卸業務、営業部門では預託在庫処理が日常業務の中心だった。しかし、これらの作業は依然として紙ベースで行われ、業務効率の低さが課題として浮き彫りになっていた。
課題
業務効率化を検討するものの、高額なハンディターミナルの導入は現実的ではなく…
Y社の物流部門では、膨大な量の入荷検品や棚卸作業が日常的に発生していました。しかし、それらの作業がいまだにシステム化されていない状況でした。
物流部門の担当者S氏はこう語ります。
「作業に多くの時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも高く、業務効率化が急務だと感じていました。特に棚卸業務では、複数の拠点からのデータ集計に時間がかかり、リアルタイムでの状況把握が難しいことが大きな課題でした」
また、営業部門でも課題は同様に深刻でした。営業担当者は医療機関に対する預託在庫処理を行っていますが、この作業もシステム化されていませんでした。そのため、在庫の有無を確認するたびに現場とのやりとりが発生し、処理に時間がかかることが日常的です。また、システム化されていないことで、数量差異があり売上が合わないことも発生しており、売上処理の正確化を図るうえでも、業務プロセスの見直しが求められていたのです。
さらに、医療業界全体で労働力不足は進んでおり、効率的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する必要性も高まっていました。
「薬機法で義務化された医薬品や医療機器の正確なバーコード表示に基づくトレーサビリティ管理は重要です。しかし、現場ではメーカーごとに異なるバーコード規格や、コードが存在しない商品もあり、対応に苦労していました」(S氏)
医療業界特有のバーコード規格に対応するには専用のハンディターミナルや有償のバーコード読み取りエンジンが必要ですが、Y社のような中小企業では予算が限られ、高額な設備導入は現実的ではありません。抱えていた課題を解決するためにS氏らは効率的なDX化を検討するものの、何から手を付ければよいのかわかりませんでした。
課題のポイント
- 入荷検品や棚卸作業、預託在庫処理がシステム化されておらず非効率だった
- 薬機法に基づくバーコード表示の義務化により、標準化されたバーコード規格への対応が必要
- 紙ベースの運用によるヒューマンエラーのリスクが業務の信頼性を低下させていた