新豚舎は携帯電話の通信圏外…ハイテク化養豚に思わぬ落とし穴
解決のカギは、端末システムの刷新にあった
養豚業 P社 生産管理部
背景
10年前、大手油脂メーカーが自社工場から出る穀物の油搾りかすを利用して養豚業に参入することになり、設立されたP社。飼育する豚のブランド化に成功し、着々と業績を伸ばしていた。このたび増産のために新豚舎を建設することになったが、ある課題に直面した。
課題
専用端末を使った個体管理システムに暗雲が…通信隔絶と端末変更の二つの問題に直面
P社は早くから養豚業のシステム化に取り組み、豚一頭ごとにRFIDタグを付けて個体管理をおこなっていました。豚舎の飼育員がRFIDを携帯端末で読み取り、個体の体長・体重や健康状態などを入力した後、本社に送ることで一括管理をするというものです。
携帯端末はシステム協力会社がP社用に作った専用のもので、携帯電話回線を使ってインターネットに常時接続するシステムになっていました。しかし、新豚舎は市街地から離れたところに建設を予定しており、携帯電話の電波が届かないことが発覚しました。
生産管理部のシステム担当のF氏は、下記のように当時を振り返ります。
「当社は携帯電話事業者に、豚舎の近くに基地局を設置してほしいと要望を出しましたが、その地域は電力など他のインフラも不安定なため、すぐには対応が難しいとのことでした。さらに、専用端末のOSがサポート終了となるため、端末を変更する必要があったのです」
新豚舎に電波が届かないことと、専用端末のOSがサポート終了になること。これら二つの問題を抱え、現場は大混乱でした。新豚舎の建設が進み、課題解決のタイムリミットが刻一刻と迫る中、F氏たち生産管理部のスタッフの焦りは募るばかりでした。
課題のポイント
- 新豚舎建設予定地は携帯電話の電波が届かないため、ネットへの常時接続を前提とした個体管理システムが使えなかった
- 従来の専用端末のOSサポートが終了となるため、端末機種を変更する必要があった