激変する国際物流環境に柔軟に対応するため、在庫管理システムを一元化したいが思わぬ課題が…
端末の種類やOSに関係なくGUI構築が可能?在庫管理の課題が一掃できた理由
物流会社 W社 情報システム部
背景
国内外に10箇所の部品・製品倉庫を持つ大手メーカー系列の物流会社W社。新型コロナウイルス感染症や気象災害、長期化する国際問題などによる流通混乱への対処が急務だった。そこで、拠点・倉庫ごとに統一されていなかった在庫管理システムを統合して、グローバル物流の最適化を図ろうとしていたが、ここである問題に直面していた。
課題
在庫管理システムの統合に、現場作業者からは想定外の猛反発が…
W社が直面していたある問題とは、在庫管理システムだけでなく、各倉庫で使われている端末の形態や機種、OSまでもが全てバラバラということでした。
今回の最適化プロジェクトを担当することになった情報システム部リーダーのY氏は、このときの状況を次のように振り返ります。
「在庫管理システムの統合をスムーズに進めるため、まずは端末を統一しようとしたのですが、社内の合意が得られませんでした。これは想定外でしたね」
主な理由は2つありました。1つ目は、機器の刷新コストが想定以上に膨大になると試算されたことです。台数も多いのですが、それぞれの端末の機能などを考えると、上位機種にしなければならなかったからです。2つ目は、現場からは使い慣れた端末をそのまま利用したいという根強い要望があったことです。作業員には熟練の方も多く、せっかく操作方法を覚えた端末を変えてほしくないという反対意見が多数寄せられました。
そこでY氏は端末を1種ではなく、開発が比較的容易なタブレット端末やスマートフォンに限定し、アプリケーションの開発を検討しました。すると今度は、対象外となってしまうハンディターミナルの方が種類や台数も多く、現場からもハンディターミナルが検討から外されていることに反対する意見が多く出てきてしまったのです。それに結局は、これらハンディターミナルをタブレット端末などに置き換えることになるため、コスト面の負荷が大きくなることに変わりはないという結論に至りました。
端末の問題が原因で統合在庫管理システムの検討がなかなか進められないことに、Y氏たち情報システム部内では苛立ちと共に、次第に焦りが高まっていました。
課題のポイント
- 国内外の10箇所の部品・製品倉庫で在庫管理システムが統一されていなかった
- システム統一に向けて端末を刷新しようとすると多額のコストがかかってしまう
- 現場からは使い慣れた現在の端末を変えたくないという強い反対意見があった
- アプリケーション開発が比較的容易なタブレット端末などの活用を検討するも、結局は切り替えのため多額のコストに