ハンディターミナルのOSサポート終了でAndroid搭載機種へのリプレイスが必須
従来とは大きく異なる開発環境への不安を打破した開発プラットフォームとは
ホームセンター X社 情報システム部
背景
多種多様な商品を扱うホームセンターX社。商品管理にはWindows Embedded Compact7を搭載したハンディターミナルを使っていたが、同OSは2021年にサポートを終了し、2026年には搭載製品出荷可能期間も終了するため、Android搭載の機種に変更せざるを得なくなった。しかし、開発環境の違いからOS移行は難航していた。
課題
Androidに精通した人材不在で、ネイティブ開発環境の習得には戸惑いと不安が…
X社では、今後、ますます変わっていくユーザーのニーズに応えるためにも、ソフトウエアや業務システムは自社で開発することが大前提でした。そのため、今回のハンディターミナルの機種変更を含めたシステムリプレイスも、自社の情報システム部で対応しようとしましたが、同部では従来のWindows系OSには慣れていたものの、Androidに精通したメンバーがいませんでした。情報システム部のN氏は、以下のように当時を振り返ります。
「まずAndroidのネイティブ開発環境であるAndroid Studioを入手し、Webの情報などを頼りに手探りで開発を始めました。Androidになることでハードウエア選択の幅が広がり、できることも増えますから、知見を積むためにも必要な作業でした。ところがAndroid Studioは従来のWindows系開発環境と、実装の考え方やOSや言語の概念が大きく異なっていたために、私たちは非常に戸惑ってしまいました」
しかも、現場からの要望で「UIは従来のものとなるべく変えない」という開発方針でしたが、従来のUIや機能を実現するためには、複数の開発言語を駆使する必要があるということが分かってきました。さらに、AndroidやAndroid Studioはバージョンアップのサイクルが早いため、アプリケーションの改修がたびたび必要になる可能性があったのです。
「不安要素が多く、このままでは移行できないと考えて、人事部にAndroidに詳しい人材を採用してほしいと依頼しました。しかし適当な人材はすぐには見つかりません。一方で、内製の前提を崩して開発ベンダーへ委託することも考えて数社に相談しましたが、ベンダーもリソース不足で、対応してもらえるところはありませんでした」(N氏)
課題のポイント
- 自社の情報システム部にはAndroidに精通した人材が不足していた
- WindowsとAndroidでは開発環境の思想が大きく異なっていた
- 従来のUI再現には複数の言語を駆使する必要があった
- OSのバージョンアップサイクルが早く、その都度アプリケーションの改修が必要になる可能性があった